「座席」で旅する。
座席図鑑 小田急50000形VSE「スーパーはこね」「はこね」
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運行区間
新宿〜小田原〜箱根湯本(スーパーはこね号・はこね号)
新宿〜藤沢(ホームウェイ号 ※平日のみ) 
 座席図鑑No038
ページ公開:サイト公開当初
ページ更新:2016年12月9日
取材:2013年12月
    2014年4月

 
展望席ロマンスカーの始祖である3100形NSEが展望席の無いEXEに置き換えられた事で展望席のあるロマンスカーは合計8編成まで減少し、ロマンスカーは本来の観光以上に、通勤や短距離での利用が増していきました。

しかし箱根への観光客をマイカーやバス、湘南新宿ライン、新幹線に流してしまい、箱根への観光特急のイメージを取り戻すため、ロマンスカーの伝統でもある連接車・展望席を復活させ、外部デザイナーが内外装を担当した「新型観光ロマンスカーVSE」が登場しました。

「さがみ」「えのしま」といった多停車型の特急には一切使用されず、「スーパーはこね「はこね」を中心に活躍しています。

●一般席

「VSE」車内全景画像

「VSE」座席画像
※上の写真2枚はクリックで拡大表示できます(新しいウインドウで表示)

VSEの”V”とは「Vault」(アーチ形の天井)と言う意味で、VSEの間接照明に照らされて美しく光を放つ天井は中世の教会やモスクの建築で多く見られるヴォールト天井がモチーフになっています。

鋭い方は車内全景写真を見て「はっ!」と思われたかもしれません。
座席は全て通路と平行ではなく、窓側に5度向けて設置されています。
実際に着座すると写真で見る以上に窓の方を向いている感覚で、一般のお客さんでも気付いてる方が多々おられました。

座席は中間車が1050o、先頭車が1010mm、展望席が1150mmとそれぞれバラバラのシートピッチで設置されていますが、いずれも(RSEのスーパーシートとその階下の普通席を除けば)従来のロマンスカーより広いピッチ。また、座席の下は空いているので足を伸ばせます。

座席のすわり心地ですが、シートピッチ拡大の影響か、従来の車両に比べてリクライニングが深く倒れ、またリクライニング時に座面が少し後ろに沈み込む機構を搭載しています。
しかしクッション、背もたれ共に固めのすわり心地で「ゆったりとくつろぐ」という感じではありません(その役目はEXEの方でしょうか?)実際の車内でもくつろぎながらゆったりと、と言うよりかは向い合せにしてワイワイと温泉に向かうグループやカップルの方が多い印象です。

テーブルは背面収納がメインですが、向い合せにした時のみ使用可能な(向い合せにしていない場合前の座席の背もたれに当たって開けない)テーブルが窓側に設置されています。
しかしこのテーブルの大きさは4人分の飲み物を置くのがやっとというくらいの小さサイズで、向い合せて使うならEXEのような肘掛収納か、HISE・LSEのような細長いタイプの方が良いかもしれません。
荷物棚は座席の上に設置されていますが、「ヴォールト天井」の影響を受けてか、カーブした形状で荷物を出し入れする手前が高く、奥が低くなるデザインになっています。
荷棚の奥は通路からも非常に見えにくいので、小物などを入れた際はお忘れにならないように・・・
●一般席(8号車)

3号車・8号車はそれぞれサービスカウンターやトイレが設置された車両となっており、客室は半室配置となっていますが、後述のサルーンを設置した3号車に対して8号車は半室の一般座席車両となっています。

半室である以外にも床面が木目調のフローリングである点や、天井がヴォールト形状となっていない(パンタグラフ{集電装置}の真下となるため)など、他の号車の客室とは異なった雰囲気の空間となっています。

 一人掛けで肘掛を上げることのできる車いす対応席も8号車に設置。

8号車は車いすで入れる多目的トイレも設置されており、車いすの方も一緒に旅を楽しむことが出来る設備が整っています。

また、ハイデッカー構造であったHISE・RSEの置き換えが完了したことで現在小田急線を走るロマンスカー4形式は全て車いす対応席が存在します。
●サルーン席(3号車) 

3号車には「サルーン」と呼ばれる個室が3室設置されています。
座席はテーブル付きのボックスシートで、リクライニングなどはありません。しかし簡易な仕切りとはいえグループだけでの空間となるため4人組での乗車なら大いに検討する価値はあるのではないかと思います。

かつて小田急が保有していたRSEにも似たようなコンパートメントが設置されていましたが、RSEのそれが1席単位での発売となるのに対しこの「サルーン」は1室単位での販売、サルーン料金さえ払えば1〜3人でも相席となる事なく乗車できます。 

 ●展望席
「ロマンスカー」といえば一番に思い浮かぶのはやはり展望席ではないでしょうか。

VSEではHISE以来途絶えていた展望席を復活させ、LSE・HISEより2席多い16席になっています。
また、展望席は天井に荷物棚が設置できない構造の為か、シートピッチが1150oと相当広めに設定されています。

LSE・HISEの展望席が、細いピラーを展望窓の中心を含めて数本設置することで側窓と繋がったデザインにしたのに対し、VSEは乗用車のように比較的太いピラーを前方窓と側窓の間に2本設置して区切ったデザインとなっているため、最前列ではどちらかというと窓側席の眺望が優れる「LSE」に対しVSEでは通路側席の方が眺望に優れています(側ピラーに邪魔されないため)

座席は一般席と若干形状が異なっており、後方席からの眺望に考慮してか、背もたれが若干中心寄りに寄り添うようなスリムな形状に設計されています。

しかしシートピッチが1150oと広いため、3・4列目からの眺望はいささか厳しいものがあります。

1列目以外からの眺望では、シートピッチが狭く座席背もたれの低い「LSE」や後方席に連れて段が高くなる「HISE」のシアター型展望席の方が勝っているのではないかと思います。
●その他
ロマンスカーの歴史の中で展望席以上に長い伝統を持つのが終戦後の1949年に1910形(3000形SEより3世代前)特急で始まって以来行われてきた「走る喫茶室」のサービスではないでしょうか。1995年までに全ての特急で中止されましたが、現在はVSEで運転される列車のみ、シートサービスが復活しています。

注文したコーヒー、緑茶などは全てガラス製のカップで届けられる他、お弁当(子供に大人気の「ロマンスカーVSE弁当も!)やロマンスカーグッズなどカウンターでの対面販売も行われています。
と、いうことでVSE限定販売の「有機栽培豆使用 プレミアムコーヒー」です。

「VSE」は戦後復興期から続いた「ロマンスカーの象徴=走る喫茶室」の気分を現在でも味わえる貴重な列車ですね!

※現在、シートサービスは廃止され、ワゴンによる車内販売のみが行われています。
2つ上の写真にもちらっと写っていますが、サービスカウンターのある3号車と8号車には箱根の観光案内やロマンスカーの案内などを表示するモニターが設置されています。

乗客が自由に操作することが出来、箱根に着いてから行く観光地の案内などを車内で見られるのはGOODですね!
トイレは10両編成中3号車・8号車の2ヵ所と、これまでのロマンスカーと同じで少なめ。

それぞれの号車に男性用個室・女性用個室、写真の「車いす対応多目的トイレ」がそれぞれ1室づつ設置されています。
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