座席図鑑 富士急行8000系「フジサン特急」  
 世界遺産登録が決まり注目を集めている富士山。
「富士山に最も近い鉄道」である富士急行のフラッグシップトレイン「フジサン特急」は国鉄時代に165系から改造されたジョイフルトレイン「パノラマエクスプレス・アルプス」を購入、再改造したものであり、老朽化の進行は否めない状況にありました。
そんな中、小田急・JR東海直通「あさぎり」号の車両が置き換えられ、小田急20000形が車齢20年ほどの早さで引退、引退直後より富士急行への譲渡に向けた交渉が行われ、2013年秋に正式に譲渡が決定。
かつて富士山の静岡側を走り、ロマンスカーとしては異例の短さで役目を終えたRSE車、今度は先代フジサン特急と同じく「フジサンキャラ」を車体に纏い、山梨県側を名峰富士に向けて走り出しています。
自由席車となる大月寄りの2両はRSE車時代の座席配置から変化することなく(後述の2号車改造部分を除く) 小田急時代を知るユーザーにとっては懐かしみのある内装を残しています。

しかし、従来のフジサン特急に慣れ親しんだ富士急行ユーザーの方にとっては座席の幅とシートピッチの狭さが気になってしまうかもしれません・・・。(8000系でも一般的な特急車両よりは広めの1000㎜ですが、従来の2000形では1350㎜で、足を伸ばしても全く届かない超ワイドピッチ)
反面、自由席でもテーブルが使えるようになったこと(2000形では自由席のみインアームテーブルが収納されている肘掛をビス止めしてテーブルが使用不能にされていました)やフットレストの設置などは改善された部分ではないかと思います。

小田急時代の内装から比較してみると、全席指定のロマンスカーに対して富士急行では自由席となるためか、座席の肩の部分にキノコ状の取っ手が設置されたことや、カーテンとヘッドカバーが「フジサンキャラ」プリントのものに交換されている点などが挙げられます。

ちなみに、2000形のフジサン特急では、自由席側の先頭車は前面展望が望めない構造となっていましたが8000系では両先頭車が流線型の車両であるため、自由席の最前列席でも展望車と同じように(むしろソファーシートが設置されている展望車に比べてクロスシートで前を向いて座れる点では展望車以上に)展望(河口湖行きでは後展望、但し座席を後ろ向きに回転させる必要あり/大月行きでは前展望)を楽しむことが出来ます。特に大月行きでの乗車であれば、展望車両以上に「3号車自由席車の最前列席」がオススメです!

外国人観光客の方が非常に多い列車であることを考慮してか、車内放送は日本語・英語・中国語・コリア語の4か国語で行われています。
自由席車両のうち、中間車両にあたる2号車の3号車寄りはハイデッキからノーマルデッキへと改造されています。
これは小田急時代にハイデッキ構造によって車いす対応設備が設置出来なかったことが交通バリアフリー法施行と関連して引退を早める原因にもなった点を富士急行が対応した形になります。
そしてこちらはノーマルデッキに設置された座席。 

全席が優先席となっており、うち1人掛けの座席は車いす固定ベルトと跳ね上がる肘掛を設置した車いす対応席となっています。
同車両には車いすで出入りできる広めの引き戸ドア、車いす対応の大型トイレも設置されており、小田急からの譲渡に際して最も大きく改造された場所となっています。
ノーマルデッキ以外の2号車客室は、3号車同様の内装となっています。
座席定員制車両である1号車の車内です。

車内は2組の4人掛け固定クロスシート、2+1列(2号車寄りの一列のみが2+2列)のリクライニングシート、先頭部分のソファースペースといった構成となっています。
 
利用には乗車券、特急券の他に着席整理券(100円)が必要になります。
 2号車寄りには2~3人掛けのソファーが設置されています。
こちらは4人掛けのクロスシート。
座席は前後のパーテーションに固定されていてリクライニングは動かせませんが、大きなテーブルが設置されているのでグループでの利用の際はこちらもおススメです。
こちらは車両の半分以上を占めるリクライニングシートになります。

座席は2号車寄りの1列を除いて2+1人掛けの座席となっています。
「RSE」といえばダブルデッカー車両の2階がスーパーシートとなっていて、2列+1列のゆったりとした座席が印象的であったのですが、この車両では普通車の座席を2+1列の配置で設置しているため通路の幅の広さが目立ってしまっています。(^^;)1人掛けの方は少し窓から離れた位置に設置されていて窓側にテーブルが増設することで通路側に寄せていますがそれでも通路がかなり広く見えますね。

何故2+1列化において普通車の座席を設置することを選んだのか、また、ゆったりした座席に改座するわけでもなく何故定員を減らしてまで2列+1列に改造したのか・・・うーん、分かりません。
 こちらは展望スペースとなります。
先代フジサン特急では2階に運転室が設置され、1階は最前部まで展望室となっている「ロマンスカースタイル」だったのですが8000系ではハイデッキの客室から運転室越しの展望を望む形になっています。
そのため、「展望車両」ではありますが2000形のような最前部での展望ではありません。
正直なところ、「2000形に合わせて無理矢理展望車に仕立て上げた普通の車両」といったイメージで、2000形の置き換えであるなら同時に引退した展望型ロマンスカーの10000形を導入した方が良かったのではないかなと思います。
先頭のLED表示機横にはRSE時代の1992年に受賞したブルーリボン賞のプレートが残されています。
展望スペースの最前部には「キッズ運転席」が設置されています。 

調べてみたところ運転台にはKATO社製ECS-1というモデルの鉄道模型用コントローラーを設置しているようです。
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