座席図鑑 JR北海道14系・24系客車 急行「はまなす」 
青函トンネルの開通に伴い廃止された青函連絡船深夜便の代替として登場したのが青森~札幌を結ぶ夜行急行「はまなす」です。
座席車を中心に、青函連絡船の桟敷席をモデルにした指定席料金で利用できるカーペットカーや寝台車も連結した編成でフレキシブルな需要に応えてきました。
青森と北海道を深夜に移動できる唯一の手段であったことや、多彩な設備を搭載した編成が人気を集め、21世紀に残存した夜行列車の中でも比較的高い需要を維持し続け、いつしか「最後の急行列車」「定期運行される最後の客車夜行列車」「最後のブルートレイン型客車を使用する列車」となりました。

青森~札幌間の500キロにも満たない区間を、旧式化した14系客車を中心とする「はまなす」は、伝統の東海道ブルトレも、21世紀まで生き残った数少ない夜行急行列車であった「銀河」「きたぐに」「能登」も、そして豪華寝台特急「北斗星」「トワイライトエクスプレス」までもが廃止される中で、「昭和」と「連絡船」の香りと気怠さを乗せて走り続けてきました。

 しかし北海道新幹線開業によって青函トンネルの通過が困難になる事や、客車の老朽化が著しい事が原因となり2016年3月での廃止が決定しています。
 取材:平成27(2015)年8月
普通車自由席(3号車・7号車+繁忙期は+8~10号車)
3種類の設備が用意されている普通席の内、乗車券と急行券のみで利用できる自由席車は、現在でも14系登場以来のシート、R51型が設置されています。
「国鉄初の普通車リクライニングシート」として登場し、倒した状態で固定できないことから乗客が姿勢を直すたびに大きな音を立てて起き上がるため「バッタンコシート」という異名で知られるR51型。倒した状態で固定できるように改良されていますが、雰囲気は国鉄時代の「バッタンコシート」そのもの。

窓割は合っていますがシートピッチも910㎜のままなので、寝るにはかなり窮屈な姿勢を強いられます。

わずかな料金差で「ドリームカー」「カーペットカー」を利用できることから夜を明かす乗客からの支持は今一つだったものの、自由席限定ではまなすを利用できる格安切符が存在していたことや、青森行き列車では道内短距離利用の乗客が多い事から閑散期でもそれなりに乗車率は維持していました。

座席以外の設備としては、窓側のみ固定式の小さなテーブル、背面ポケットのみのシンプルな座席。床面は「車内が広く感じられる」ということでJR北海道が積極的に導入していた「ダイヤゴナルパターン」のものに貼りかえられています。

ちなみに・・・繁忙期や車両の検査の都合で時折、「ドリームカー」の代わりに指定席として投入されることがあります。繁忙期には3号車が指定席となるため、指定席券が「3号車」だった場合は要注意!
 座席に横縞の縫い目が入った座席も一部に存在していました。
普通車指定席「ドリームカー」5号車・6号車
指定席車の座席車は国鉄特急グリーン車の代名詞「R27型リクライニングシート」が搭載されたドリームカーが充当されています。 

深く倒れるリクライニングや高さ調整可能なフットレスト、グリーン車並みのシートピッチと、「急行列車の普通席」とは思えない豪華な設備で、横になれるものの床の固さが難点となるカーペットカーと人気を二分していました。

現在でも特急のグリーン車として搭載されているR27型ですが、この「はまなす」のドリームカーが引退すると定期運行されるのはリンク先の185系のみとなります。はまなすの廃止で「客車列車」「急行列車」が消滅することになりますが、同時にこの「R27」も絶滅危惧種になっていくのかもしれません。
一部の座席は女性専用席となっています。
普通車指定席「カーペットカー」(4号車)
指定席車のうち、1両は「ドリームカー」ではなくカーペット敷きで横になれる「カーペットカー」が設置されています。
似た設備に「サンライズエクスプレス」のノビノビ座席がありますが、こちらは枕と掛布団、ハンガーまで用意されている豪華っぷり!カーペットが固い点と下段では枕元しか区切れない点を除けば寝台に大きく劣らない設備が普通車指定席料金で利用できることから人気を集めています。 
写真は2枚とも夏季に撮影したものですが、冬季には写真のカーペットの上に電気カーペットが敷かれる寒冷地の夜行列車らしいサービスも行われています。
上段席は下段に比べてプライバシーが確保されることから人気がありました。

特に一番人気だったのが車端部の上段(右上の写真の奥)で、壁と仕切りに挟まれたプライベート空間のためプラチナチケットとなっていました。 
B寝台(1号車/2号車/繁忙期には+増21号車) 
青森寄りの2両は昔ながらの開放式2段B寝台車となっています。

車両はかつて寝台特急で活躍した車両と同型の14系(北陸や富士・はやぶさなど)や24系(北斗星・あけぼのなど)で編成されている為、急行列車でありながら寝台特急と同じ設備が用意されています。

こちらは14系の寝台で、モケットは、かつて「北斗星」でも見られたブラウン(藤色?)のような不思議な色。アメニティは枕、シーツ、掛布団にハンガーと浴衣が用意されている一般的な仕様となっています。 

繁忙期には1両増結されることがあり、号車番号は「増21号車」という不思議な番号でした。
これは21両目に繋げるのではなく、「2」号車と「1」号車の間の「増」結車という事でこのような番号になっています。(多彩な設備ゆえに、1~3号車にすると「5号車カーペット」「4・8号車自由席」など座席車の方で混乱が起きかねないからかも)

開放式寝台を備えている定期列車も、いつのまにか「はまなす」が最後になりました。
こちらは上段寝台。 
下段寝台のように座席に腰掛けるのは難しいですが、枕元の収納スペースやカーブした天井の美しさは下段にはない魅力でした。
 モケットが濃い目のブラウンとなっているこちらの寝台は、ここまでの座席車・寝台車とは別形式の24系の車両。
もっとも、同じブルーの車体なので見た目は似ていますが、24系には減便・減車で余剰となった「北斗星」仕様の金帯車両が多いようです。
こちらは上段寝台をベッドメイクした状態。

管理人が「はまなす」に乗車したのは2回。(1回目は6年ほど前、ドリームカーでした)
これが管理人の最後の「はまなす」乗車、そして最後の「開放式寝台乗車」となってしまいそうです^^: 
開放式B寝台の名物、壁にくくりつけられた椅子も現役です。 
フリースペース 
「ドリームカー」車両の車端部には4脚のスツールとテーブルを備えたスペースが2セット、通路を挟んで設置されたフリースペースがあります。

どうやら元は喫煙スペースであったようで、真っ赤なモケットの椅子にピンク色の照明の狭い空間がちょっと怪しい雰囲気を醸し出しているスペースですが、狭い寝台車・カーペットカーの乗客の息抜きや繁忙期に自由席で座れなかった乗客の行きつく先として一役買っているようです。

その他の車内設備としては、ソフトドリンクの自動販売機が自由席車のデッキに設置されています。
「はまなす」の北の始発駅にして北日本随一の世界都市である札幌の夜景です。 

豪華寝台特急として華々しく登場した「北斗星」や青函連絡の主力を担った快速「海峡」(現、特急「白鳥」「スーパー白鳥」の前身)とは違い黙々と毎日1往復の深夜輸送を担ってきた「はまなす」

彼が旅を終える日は刻一刻と近付いてきています。
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